建築士事務所登録は必要でしょうか

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先日、私が建設業許可の取得手続きを代行した関与先の役員から質問がありました。
ざっくり書くと「当社の所属する一級建築士の定期講習の期限が近付いているが、建築士事務所登録はしておいたほうがいいか?」

建設業許可を取得する際に、一級建築士の方を専任技術者として申請したのですが、建築士事務所登録の申請までは行っていませんでした。

よくよく聞くと、下請として工事を受注する場合でも、簡単な設計を行うことは確かにあるそうです。

建築士法には次のように定められています。

建築士法
(登録)
第二十三条 一級建築士、二級建築士若しくは木造建築士又はこれらの者を使用する者は、他人の求めに応じ報酬を得て、設計、工事監理、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査若しくは鑑定又は建築物の建築に関する法令若しくは条例の規定に基づく手続の代理(木造建築士又は木造建築士を使用する者(木造建築士のほかに、一級建築士又は二級建築士を使用する者を除く。)にあつては、木造の建築物に関する業務に限る。以下「設計等」という。)を業として行おうとするときは、一級建築士事務所、二級建築士事務所又は木造建築士事務所を定めて、その建築士事務所について、都道府県知事の登録を受けなければならない。

(無登録業務の禁止)
第二十三条の十 建築士は、第二十三条の三第一項の規定による登録を受けないで、他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を業として行つてはならない。
2 何人も、第二十三条の三第一項の規定による登録を受けないで、建築士を使用して、他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を業として行つてはならない。

罰則規定も法第38条にあります。

法第23条で定められている「設計等」とは次のような行為を指します。

  • 建築物の設計
    その者の責任において設計図書を作成すること
  • 建築物の工事監理
    その者の責任において、工事を設計図書と照合し、それが設計図書のとおりに実施されているかいないかを確認すること
  • 建築工事契約に関する事務
    工事請負契約の内容を十分に調査・検討する必要があり、それにかかる業務
  • 建築工事の指導監督
    工事監理、建設業法上の施工管理又はいわゆる現場監督でなく、建築工事について工事施工者に即した立場でなく、建築主の依頼により第三者的立場から指導監督すること
  • 建築物に関する調査又は鑑定
    建築物の構造、高さ、面積等の測定等通常建築士としての知識技能を必要とするような全ての調査又は鑑定(建築基準法第 12 条の定期報告の調査・検査等がこれにあたる)。 ただし土地家屋調査士法等の他の法律において特別の資格の登録等が定められている場合を除く
  • 建築に関する法令又は条例に基づく手続の代理
    建築基準法第 6 条第1項の確認申請等の代理

建設業者が、請負の一環として、建築物の設計、工事監理等の業務を行う場合も建築士事務所の登録が必要とされています。

また法人が建築士事務所の登録を受けようとするときは、定款中の業務内容に、建築物の設計、工事監理等の項目を掲げる必要があります。

上記のことを考慮すると、冒頭の関与先の会社は、建築士事務所登録もしておくことが必要なのでしょう。
しかし登録するとなると、建設業許可同様、手間とコストがかかる話になります。また、管理建築士が何らかの事情で退職した場合、後任がいなければ建築士事務所登録を維持することもできません。

今後の営業戦略、経営方針、そしてビジョンを十分に練った上で、建築士事務所登録の必要性を検討していただきたいと思います。